前回のブログまでは私の妊活についての話をしてきました。
実はこのブログを書き始めて少し経った頃、私は不妊を乗り越え、妊娠することができました。
できたのですが…お腹の子の病気により、私は妊娠を継続することができませんでした。
ここからはセンシティブな内容を含む、少し悲しいお話になります。
苦手な方や同じようにお辛いご経験がある方は、無理のない範囲で、読まれるかご自身でご判断くださいね。
もし、同じような出来事に辛く苦しむ方がいらっしゃいましたら、ここで悲しみを共有できたらと思っております。
また、記載されていることはすべて私の体験談になります。
すべてが同じ結果になるわけではありませんので、もしご自身で悩まれていることがあれば医師に必ずご相談ください。
初回妊婦検診にて
2024年12月に妊娠が発覚した。
心拍確認もでき、母子手帳を受け取りに行ったのが発覚から1ヶ月後。
妊活のときから思っていたが、なんで自分の体で起きていることなのに、自分が母親なのに、子どものことをわかってあげられないんだろう。
もし最初から気づけていたら…
母親の私が何とかできたなら…
1日が長くて長くて、それでも一日ずつ確実に進んでいった。
年齢も30代、1人目のときとは状況も違うこと、知識も増えていたことから、なんとなく生まれてくる子について調べておきたいと考えていた。
私が考えていたのは【NIPT】という染色体異常を調べる検査。
受けておきたいという話を主人にすると、主人は「そんな検査受ける必要あるかな?大丈夫だよ!」と、検査をやんわり断られた。
「そんなことない」「自分がなるわけない」
私たちはみんなこう考えて生きているけど、本当にそんなことないんだなということを、今になって痛感する。
私も主人にそう言われて、「そっか…」で終わっていた。
「そうだよな、まあ大丈夫だとは思うし…」
そんな気持ちで初回妊婦検診の日になった。
1人目のときは、妊婦検診がワクワクで仕方なかった。
そんなふうに、毎回の妊婦検診が楽しみになるのだと思っていた。
名前が呼ばれ、少し緊張しながらも診察室に入り、エコーを見てもらった。
なんとなく長い気がしたエコーの時間。
しかし先生は何も言わずにエコーを続けた。
そこで先生に言われた一言で私は真っ白になった。
「首の後ろにむくみがあるから、紹介状を出すので大きな病院へ転院してください。」
むくみ…?紹介状…?
何を言われているのか理解できなかった。
ただ、良くないことであることだけはたしかだった。
恐れていたことが現実になった瞬間だった。
NT
「NT(エヌティー)」は、妊婦健診のときに行う超音波検査(エコー)でわかる、赤ちゃんの首の後ろのむくみの厚さのこと。
私が妊婦検査で言われた「首の後ろのむくみ」のことだ。
初回の妊婦検診の際言われたNTの厚さは5mm。
このときすでに妊娠11週。
NTについて、今後どうなるのか、治る可能性、治療法、無事に生まれる可能性。
何度も何度も調べた。
1日中調べた。
人も疲れるとむくんだりすることがある。
それと一緒で、むくんでいる=障害があるというわけではないと看護師さんに言われた。
次の検診は初回検診から2週間後だった。
地獄のような2週間だった。
何をしていてもそのことばかり考えてしまい、毎日が絶望的だった。
そして紹介状の出された病院での診察日。
そこでは私が受けようか悩んでいた【NIPT】の説明、45分にもわたるエコーでの診察が行われた。
長い時間をかけて、ここまで詳細にエコーを見てもらったのは初めてだった。
この時点での先生からの診察結果は、
・NT9mm
・心臓の未形成
NTが前回よりも4mmも厚くなっていたこと、心臓の部屋が通常4つあるところが2つしか形成されていないことが告げられた。
まだ今の段階では何とも言えない、NIPTをするのはもう少し待った方がいい、また10日後にエコーをみてそこで判断しましょうとのことだった。
希望を失った気持ちで主人と家に帰ったことをよく覚えている。
私たちはNIPTの申し込みをするよう、エコー前の説明で申込書を渡されていて、その日に出して帰る予定だった。
それなのに先生がなぜ今日NIPTを受けなくていいと言ったのか。
それが答えだった。
検査を受けるのにも10万ほどかかる。
それが無駄になってしまう可能性が高いということだった。
私たちが考えた『命』について
帰宅して、しばらく沈黙が続いたあと、私から口を開いた。
「今の状況を踏まえて、妊娠を継続するか、諦めるか、どうしたい?」
こんな問題を突き付けられるなんて夢にも思わなかった。
ブログやママリからたくさんの人の考えを読んだ。
命についての考え方はたくさんある。
そのどれもが間違いではなく、正しい。
その上で、私たちは話し合い結論を出した。
それは、「今回は諦めよう」ということだった。
たくさん理由がある。
もちろんそれが正しいなんて思わない。
これは私たちが、今の状況を考慮して決めたこと。
NTだけなら、こんな決断をしなかったと思う。
でも、心臓が未形成ということは、たとえお腹の中で生きることができても、生まれた後生きていける保証はない。
本当に苦渋の選択。
こんなに泣いた主人は初めて見た。
私たちが突き付けられている現実の重さを物語っているんだなと感じた。
悲しかったけど、私はなぜか少し冷静だった。
それだけ、私の中で「そうさせるわけにはいかない」という気持ちが強かったのだと思う。
この命は、私たちが勝手に望んだ命。
私たちが勝手に望んだのに、生まれた瞬間に呼吸が苦しくなるなんて、そんな苦しくて怖い思いをさせるわけにはいかないと思った。
そんな我が子を見て私は思うだろう。
「変わってあげたい」と。
でも変わってあげることはできない。
生まれてから苦しいとわかってて産んで、「変わってあげたい」と思うのは、私は自分勝手なことのように思えたから。
もう、こうすることしかできなかった。
ありがとう
10日後の診察の日。
先生はこの日も時間をかけて入念にエコーで診察をしてくれた。
完全に諦めていたわけじゃない。
もしかしたら奇跡が起こるかもと、心の底では、本当は思ってた。
この日の診察結果はこうだった。
・NT9.4mm
・心臓の未形成
・胸と肺に水が溜まり始めている
前回に比べて状況は悪化。
私は先生に聞いた。
「生まれた後に生きられる可能性はありますか?」
先生は、「妊娠継続ができない可能性が高く、生まれてこれたとしても新生児の段階で…」とのことだった。
他の妊婦さんが安心した顔で診察を終えていく姿を横目に見ながら、私と主人は泣いていた。
私たちはお別れをする決断をした。
母子共々健康であることが、当たり前じゃないことなんだと、はじめて知った。
自分には起きるわけないって、どこかで思っていた。
妊娠や出産がこんなに奇跡だったなんて…
さいごに
中絶手術をすることになり、入院当日、もう一度最後にエコーを見てもらったら、その時点でお腹の子は亡くなっていました。
子宮内胎児死亡により、後期流産となりました。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
人生で一番つらい日々でした。
人生で一番苦しい選択を迫られる毎日でした。
でも、たくさんのことを知りました。
ずっと不妊だった私に、私は妊娠できると自信をつけてくれた。
ずっとほしかった2人目として生まれてきてくれた。
妊娠がわかったあの瞬間、本当に幸せだった。
命について考える、本当に素晴らしい時間をくれた。
夫婦の絆をまた一段と深めることができた。
ここには書ききれないほどたくさんの幸せを運んできてくれたんです。
そう思うと、本当にありがとうという言葉だけでは足りないくらい、私たちのところへ来てくれたことに感謝しています。
つらかったし、苦しかったけど、悪いことばかりではなかった。
たくさんの幸せをくれたから、今こうして現実を受け入れて前に進むことができています。
ここに書いたことは私の体験談です。
NTがあるからみんなこういう結果になるわけではありません。
ただ、もしこの文章を読んでくれる人の中に、同じように苦しんでいる人がいたら、私はその人に寄り添いたいと思い、私が体験したことをここに記しました。
私は今前に進んでいます。
まだまだ涙を流すこともありますが、泣いていいんです。
いつまでも泣いて、悲しんでいいんです。
それも前に進んでいるということです。
でも落ち着いたら思い出してほしい。
起きたことすべてが不幸ではなかったということを。
お腹の中に来てくれたことがわかった時の、あの瞬間の幸せを。
確実に自分の中で生きていてくれていた日々を。
私はそれを胸に抱いて、大切に、今を生きています。
コメント